睡眠障害
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睡眠障害とは
1.俗にいう「金縛り」は、病気でも、心霊現象でもありません。「金縛り」は、悪夢を見て突然に目が覚めた時に、よく起きます。意識は覚めているのに、目の前には夢の続きの映像が見えます。映像に、音声を伴っていることもあります。ところが、体を動かそうとしても動きません。時には、声も出ません。何者かに押さえつけられているような気がして、息が苦しいこともあります。
別に、これは、心霊現象ではありません。誰にでもあることです。
夢を見ている時、体の筋肉は、完全に力が抜けています。そうでないと、夢の通りに動いてしまいます。夢(特に、悪夢)から急に目覚めると、意識は覚めていても、脳の一部では夢の続きを見ています。そして、体の力は抜けているので、動こうとしても動けません。体を動かそうとしても動けない状態が、押さえつけられているように感じることもあります。
寝入りばなに、脳と体の一部だけが夢を見ているような状態になって、「金縛り」に遭うこともあります。
「金縛り」のことを、睡眠に関する専門用語では、反復性孤発性特発性睡眠麻痺(はんぷくせいこはつせいすいみんまひ)と言います。この言葉を知っておく必要はありません。また、「金縛り」に治療は必要ありません。
2.下肢静止不能症候群(RLS)、レストレスレッグズ症候群、ムズムズ脚症候群とも言う
寝床に入って体が温まると、脚がムズムズして、脚を動かしたくなる。起きて脚を動かせば、ムズムズはおさまる。しかし、何度も起きて脚を動かすので、なかなか眠れない。これが、典型的な症状です。カフェイン、アルコール、ニコチン、一部の医薬品、鉄の欠乏などによって、誘発されることもあります。
寝る前に短時間の散歩をすれば、眠りやすくなります。激し過ぎる運動や、極端な運動不足は、有害です。
生活療法だけでは効果が出ない場合、寝る1~2時間前に服薬します。昼間の症状が強ければ、内服薬よりも貼り薬の方が有効なこともあります。
症状が軽い時期には、薬を減らす必要があります。
3.周期性四肢運動障害(PMD)
睡眠中に足のピクツキが周期的に出現して、睡眠が浅くなったり、目が覚めたりする睡眠障害です。その結果、昼間の眠気が生じます。疲労や、カフェイン過剰、鉄の欠乏などにより悪化します。この病気は、人口の1~4%の人にみられます(前述のRLSよりも多い)。年齢と共に増えるので中高年に多く、また、妊娠中の女性の約2割にも起こっているといわれています。高齢者の発現頻度に、大きな男女差はありません。
RLSと違って、不快な感覚はありません。実際には、PMDとRLSが合併することもあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAP)に持続陽圧呼吸療法を行った場合、その違和感によって眠りが浅くなり、PMDが誘発されることもあります。
生活習慣の改善だけで効果が不十分な場合は、薬の治療が必要です。クロナゼパム、プラミペキソール、ロピニロールなどが、有効です。症状が軽い時期には、薬を減らすことも必要です。
4.寝入りばなのびくつき(入眠期ミオクローヌス)
寝入りばなに、全身、または身体の一部分に生じる瞬間的な筋収縮です。ほとんどは、1回だけのびくつきです。しかし、まれに繰り返してびくつくことがあり、不眠の原因になります。生理的現象なので誰にでも起こり、長期間持続することはありません。 PLMDのような規則性はありません。夜間に多発して不眠の原因になっているような場合には、クロナゼパム0.5~2mgやジアゼパム5mgを就寝前に処方します。